2014年現代の糖質制限はどうなっている?

森拓郎ブログ

足元から顔までを美しくするボディワーカーの森拓郎です。

前回までの記事です
糖質制限ダイエットについて
糖質制限ダイエット。アトキンス・ダイエットの危険性とは

アトキンスダイエットを代表する極端な糖質制限、低炭水化物ダイエットはリスクが高い・・・ということを説明しました。

しかし、2012年あたりから流行り始めた現代の糖質制限食は、ルールがかなり整備され、学術的にも研究が進んでいるようです。

その権威とも言える方が、高雄病院 江部康二先生ではないでしょうか。実際、先生のブログはしっかり科学的根拠から考え、その説明もあるのでとても勉強になります。

江部先生は糖尿病患者のために考えた糖質制限食というところをメインでされているため、そこにダイエットが付け加えられているだけで、一般向けというよりも基本は病人向けだということを理解しておくとよいでしょう。

江部先生の提唱する糖質制限食は3パターンあります。
通常は炭水化物60%脂質25%たんぱく質15%という数字が厚生労働省が推奨しているPFC摂取バランスであり、普段皆さんが摂取している平均的であろう数字です。

・プチ糖質制限食(夕食だけ主食抜き)
炭水化物41%脂質38%たんぱく質21%

・スタンダード糖質制限食(朝食と夕食の主食抜き)
炭水化物27%脂質45%たんぱく質28%

・スーパー糖質制限食(3食全て主食抜き)
炭水化物12%脂質56%たんぱく質32%

禁止・注意点もあります。

※カロリーを無制限に食べる
糖質以外はたくさん食べてもよいですが、さすがに1日3000kcal以上ものカロリーを摂るといくら糖質制限してもやせません。
※甘いものでなければ大丈夫と、おかきやせんべいを食べる
もちろん、もち米でできていますからね・・・糖質です。
※野菜ならOKと根菜類を食べる
かぼちゃ、ニンジン、ごぼう、レンコン、玉ねぎなどは糖質が多いので少量までにする。
※葉野菜ならOKと多量に食べる
葉野菜は糖質は少なめですが、炒めたりすると嵩が減るため、多量に食べる恐れがあります
※玄米や十割蕎麦を食べる
ヘルシーなイメージがありますが、穀物は糖質が多いので食べれません
※糖質制限に合わせて脂質制限もしてしまう
痩せすぎ、へろへろで力が出ない場合は脂質が少ない場合があります。カロリー不足になりますから、積極的に摂取しましょう。

などのルールがあります。
また、糖質の多い果物、清涼飲料水はもちろんNGですし、お酒も糖質が含まれる醸造酒はNGで、糖質が全くない蒸留酒(焼酎・ウイスキー・ウォッカ)などはOK。糖質ゼロの発泡酒や辛口ワインはOKというルールもあります。

血糖値の上昇を1番大切にしているので、カロリーゼロなどにはある程度寛容なようです。

ただ、脂質については、病気リスクが最も高い揚げ物などに使われる油、リノール酸(オメガ6系)は多量摂取に注意とあります。もちろんトランス脂肪酸もですね。

その他、様々なルールがありますが、
夕食や朝食の炭水化物を抜くっていうのは、女子に結構ありそうな感じですよね。
ただ思うのは、この糖質制限でも大事なのは炭水化物を抜いた分、摂取カロリーを減らしていないこと。
つまり、減らした分たんぱく質と脂質をたくさん摂っているということ。特に魚や豆類などの量が減ると、肉ばかりになってしまうため、飽和脂肪酸の摂取が過剰になりやすいため、病気のリスクが心配です。

ここはやはり亜麻仁油や魚油などのオメガ3系や、オリーブオイルなどのオメガ9系の油は摂取が必要なようです。

糖尿病患者は迷うことなくスーパー糖質制限食だと思いますが、ちなみにアトキンスダイエットの炭水化物の割合は5%だそうです。これ、究極過ぎますよね・・・。スーパー糖質制限でも12%なのに。

さて、そんな現代の糖質制限を唱える江部先生は、先日書いた読売新聞のスウェーデンの研究に反論をブログでしています。

読売新聞の記事

【炭水化物を制限する食事を長期間続けると、心筋梗塞や脳卒中になる危険性が高まるとの研究を、ハーバード大などのグループが英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に発表した。

炭水化物を減らすダイエットが日本でも広まっているが、慎重に取り組む必要がありそうだ。

同研究グループは1991~92年、スウェーデンの30~49歳の女性4万3396人の食生活を調査し、その後平均約16年間、心筋梗塞や脳卒中などの発症を追跡調査した。

1270例の発症例を、炭水化物とたんぱく質の摂取量によって10段階に分けて分析。炭水化物の摂取量が1段階減り、たんぱく質の摂取量が1段階増えるごとに、それぞれ発症の危険が4%ずつ増えた。一般的に炭水化物を制限する食事では高たんぱく質になる傾向がある。低炭水化物・高たんぱく質のグループでは、そうでないグループに比べて危険性が最大1・6倍高まった。

(2012年7月8日09時52分 読売新聞)】

江部康二氏
この論文、信頼度が低く、到底エビデンスと呼べるような代物ではありません。

・栄養分析が登録時の1回のみで、15年以上その食生活が継続しているという仮定に無理がある。
・塩分摂取量での調節がなされていない。
・質問事項が、食べた食物の項目で答えるタイプで、炭水化物(糖質)量など各栄養素の算出方法が明確でない。
・糖質摂取とタンパク質摂取の点数化が恣意的で歪曲されている。
・British Medical Journalには、本記事に対する専門家のコメントが12件よせられ
その全てがこの論文に対して否定的見解であり、これは希有なことである。

などなど、突っ込みどころ満載の論文です。(ドクター江部氏のブログより引用)

とのことです。
また、このような別の研究を上げていました。

2006年に報告されたハーバード大学の研究(ニューイングランドジャーナル)

「低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなし」

は、上記BMJの論文に比し、デザイン・研究方法・解析など、はるかに信頼度が高い論文です。

82802人の女性看護師を20年間追跡したコホート研究です。

この論文では、炭水化物摂取量が冠動脈疾患リスクと関連していたと結論しています。

•1980年、米国の女性看護師82,802人に食事調査を行い、研究を開始 。
•低炭水化物食「得点」が上位10%のグループの冠動脈疾患の発生率は下位10%のグループの0.94倍で有意差なし。2000年の時点で10グループを解析。炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。
•即ち20年間の追跡で、脂肪と蛋白質が多く炭水化物が少ない食事をしているグループでも、心臓病のリスクは上昇しなかった。
• 一方総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。 高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。
Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.
(こちらもドクター江部のブログより引用)

江部先生はご自身の専門分野なので、やはり糖質制限についてしっかり今あるエビデンスベースでお話をされています。
そして、腎臓疾患、腎臓の機能低下がある人、膵臓に炎症ある人、肝硬変の人、長鎖脂肪酸代謝異常症の人は糖質制限はできないという注意もしています。

また、すでに糖尿病と診断され、薬を飲んでいる、インスリン注射を自分で打っているという人は、医師への相談が必要で、ガイドラインに沿って実施する必要があるため安易に自己流で行うのは危険としています。
ここまで言っても、ダイエットのために糖質制限を安易にやる人はきっとあとを経ちません。私も江部先生のブログや著書を読んでいると、糖質制限があまり悪くないような気がしてきたりしますからね。ただ、糖質に対する考え方はかなり正しいと思っていますよ。糖質制限やるかやらないかは別として。

逆に、運動指導者は否定的にならざるを得ないと思います。やっても夕食だけ炭水化物を抜くプチ糖質制限でしょうか。

なぜなら、私達の普段の活動のほとんどは糖質ではなく脂質からまかなわれているので、糖質は脳を働かせるためぐらいにしか必要としません。
しかし、脳以外で糖を使用する時・・・それが運動だからです。実際、これはファスティングでもそうですが、低血糖の状態だと全然力が入りません。

糖質制限に慣れると、低血糖にならずに普段から通常の血糖値は保てると思いますが、これはあくまで普段の状態であり、運動に耐えうるエネルギー量ではありません。
筋肉をつけたい、ボディメイクをしたいという場合は糖質は必要ですから、必要量摂取すべきです。

しかし、それにもやはり注意が必要なので、吸収の早い砂糖や飲料、パンやお菓子などの炭水化物のとり方に注意しないと、結局筋肉はついても体脂肪が全然落ないということが起こりうるのです。

私は、江部先生のブログを読んで糖質制限に興味をもち、少し理解をしましたが、やはり糖質制限をするとしてもプチまでぐらいしかオススメはできません。

ただ安易に炭水化物をカットするのではなく、何からカットしていくのか、自分の食べたいものを食べるには、何と引き合いにてバランスを摂るのか・・・などを自分で考えられるようになる必要があるなと思いました。

太っていない私でも難しそうな食事法を、糖質依存ともいえる人達がいきなりこんなガチガチのルールの食事をして、一生好きな食べ物から離れた生活ができるなんて全然想像がつかないのです。

というか、むしろそこまでしなくてももう少しコントロール力をつけさえすれば、好きなものを食べて簡単に痩せることができると分かれば、苦しい糖質制限を選択する必要はないんじゃないかな・・と思う次第です。

実際のダイエットはもっと楽で、好きなものもちゃんと食べられます。
それで10kgや20kg痩せるのも可能なのです。
それぐらい増えていた人にとったら”普通の食事”自体がかなりの糖質制限と感じるかもしれませんけどね…。

もっと詳しく書き語ったのですが、この糖質制限についてはここまでで、次回は狩猟採集時代の食事を勧めるパレオダイエットについてです。

私の著書です。
「運動指導者が断言!ダイエットは運動1割・食事9割」
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